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ETロボコンのイノベーター部門のこと

 この記事は,ETロボコン Advent Calendar 2015 7日目の記事です.
 記事を書いている12/7現在,8〜11日目の担当がいないようなので,後輩にでも圧力をかけてみます.

ETロボコンについて

 この記事の読者の中には「ETロボコン?なにそれ宇宙人のロボットでも作るの?」と思っている方もいると思うので,一応ここでざっくりと説明させて頂きます.
 ETロボコンとは,組込みシステム (Embedded Technology) 向けのロボコンで,参加者は高校生・高専生から社会人までと,NHKの学生ロボコン高専ロボコンに比べると幅広い層の参加者が集まります.
 本年度は,大会で決められているLEGO MINDSTORMを用いた走行体を,障害物のあるコースで走らせる「デベロッパ部門」と,製品の企画から開発まで全てを行う「イノベーター部門」が行われました.
 もっと詳しい内容について知りたい方はこちらを御覧ください.

自分について

 私はJoker艮のメンバーとしてETロボコン2015のイノベーター部門に参加しました.
 Joker艮は2010年からETロボコンに参加し,それ以降毎年チャンピオンシップ大会に出場しております.今年度は銀杏をキャッチするロボット(チョウキャッチ)と落ちた銀杏を回収するロボット(チョウクリーン)を発表しました.
 私自身は今回が初の参加で,他の学生メンバーは4人いるのですが,全員が私の1つ下の後輩で彼らも皆初参加でした.
 私は残念ながら8月頃,1ヶ月間インターンシップに行っていた (関連記事:インターンに行ってきた - おぼえにくいおぼえがき) ために開発にはあまり関われず,地区大会後からチャンピオンシップ大会までの改良においてなんとか先輩としてアドバイスやコードの書き直し・新機能実装を行いました.

ロボコンに参加して

結果

 まずは結果を述べると,イノベーター部門は表彰に誤りがあったりといろいろゴタゴタがありましたが,最終的に4位となりました.3位とは4点差で,非常に悔しい思いをしました.

反省点

 地区大会・チャンピオンシップ大会共に,チョウキャッチが練習通りに動かず,そこで会場審査点が低くなったことが挙られます.地区大会で動かなかった原因をチャンピオンシップ大会までに解明してきたつもりでいましたが,実際には別の要因があったようです.

原因

 動かなかった原因は,落下物認識で用いているKinect (v1) の不調でした.
 Kinectは通常のカメラとは異なり,赤外線を用いることで深度を取得することができるのですが,この赤外線の取得に関して会場ではノイズが発生しやすいようで,Kinectで取得できる4つの値の種類 ("Normal Value", "Too Far", "Too Near", "Unknown") のうち"Unknown"となっている領域が非常に多くなっていたのでした.この事象の原因を地区大会以降調べていたのですが,上記の通り残念ながら解明は出来ませんでした.
 今後,ETロボコンKinectを使いたいと思っている方のためにアドバイスをすると,


Kinectを使うのはやめておけ


ということです.
 それでももし使いたいのであれば,

  • 客席の方向にKinectを向けない
  • 練習時に実際の本番会場のように大人数がカメラを構えた状態で行ってみる

といったことがもしかすると解決の糸口となるかもしれないです.

イノベーター部門について

 ここからは,一部では今後の存亡が危ぶまれているとも噂されるイノベーター部門に対する思いを書いていきます.

意義

 開発だけではなく企画力から育てる,というコンセプトには非常に共感致します.しかしながら現在の競技規約通りに今後も続けるつもりであるならば,この部門を行うのが「ETロボコン」内である必要性については疑問を感じます.
 今年度の出場チームは昨年度までのアーキテクト部門に比べ,スマートフォンアプリに関する発表が増えたように感じました.規約上それで問題はないのですが,私としてはスマートフォンアプリは「組込み技術」と呼ぶべきものなのかと疑問に思いますし,ロボコンなのにそもそもロボットを使っていない発表があったり,しまいには発表がただのプレゼンで製品ないしその実際に動くモデルは登場しない,など本来の目的と合ってるのか個人的に非常に疑問の残る発表が多かったです.
 「来年以降はテーマを決めたい」といった声が運営側から出たような記憶がありますが,上記理由からもぜひ来年以降はそうして欲しいと感じます.

参加者の減少

 年々参加者が減っていますが,その理由を運営側が本当に理解しているのか疑問を感じました.
 企画から行うため参加の敷居が高い部門であり,毎年続けるモチベーションが出ない,ということが主な原因の1つかと思いますが,それ以外にも理由として感じられる部分がありましたので思い返せる範囲で書きます.

  1. デベロッパ部門とは異なり企画とプレゼンの合計値の評価でしか表彰されないため,本番で何かしらのトラブルが発生した場合全く評価されずに終わってしまう (その逆も然り)
  2. 評価方法と各参加者の参加目的とのズレ
  3. 「イノベーター部門こそ重要」と言う割に運営からの扱いが悪い

 1については,恐らく異論も多くあると思いますし,自分自身ここに挙げておいて「これって甘えだよなぁ」と思ってはいるのですが,参加意欲の維持の観点において,評価されるのとされないのとでは大きく異なると思うので,検討して欲しいと思いました.

 2については,閉会式にて起こったいざこざとも関連していると思いますが,企画を重視して欲しい参加者もいれば,私たちのように実際のロボットやそれを実現する技術を見て欲しい人もいる,ということです.これに関してはどうしようもないので,せめて1のように評価をしてもらえたらな,と思います.
ただ,一学生として企画を非常に重視すべきと考えている企業の方に言いたいこととしては,高校生から参加するコンテストでマーケティングを非常に重視されてしまったら,普段からマーケティング調査を行っている企業さんに比べ,学生は不利になってしまいますし,それが原因で学生の参加者が減ればそれこそ大会の目的である「5年後、15年後に世界をリードするエンジニアの育成」にそぐわなくなる,ということです.
 また,企画書審査の段階で,審査員の専門の範囲でわかる欠点は減点に繋がるものの,審査員の専門外の範囲で,私が得意とする分野に関し「これはまずいだろう」と思う部分は減点されていないことも,現在の評価方法の欠点として挙げられます.

 そして3について.細かいことで「イノベーター部門はおまけのように扱われているなぁ」と思うことは多々ありましたが,中でも最も強く印象に残っているのがリハーサル中止事件です.チャンピオンシップ大会では,予定変更によりイノベーター部門のみ本番会場でのリハーサルを行わないことになったのですが,それを通達されたのが本番5日前でした.
 ないならないでもっと前から知らされていれば文句はありませんでしたし,もしそれが不可能だったとしても,例えば前日にリハーサルを行うことを許可するのであったり,なぜ行えなくなったかの理由をもっと説明するといった対応もあったのではないかと思います.ただメールでさらっと「イノベーター部門の競技本番会場での試走会は行わないこととなりました。」とだけ通達したことにより,多くの参加者の怒りを買ったことを理解して欲しいと思います.

まとめ

 最後の方は愚痴のようになってしまいましたが,私の声が来年以降の改善に繋がれば,その時はこの記事を書いて良かったと思えるはずです.
 最後に,もう一度.

Kinectを使うのはやめておけ

※ 本記事に書かれている意見は @oboenikui 個人のものであり,Joker艮および東北大学大学院 情報科学研究科を代表するものではありません.